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東南アジアにおけるEコマース市場の今

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東南アジアにおけるEコマース市場がここ数年の中で見ても大きな盛り上がりを見せている。

東南アジア各国で積極展開するプレイヤー

東南アジアのEコマース市場の注目度が高まっている、大きな要因の一つがドイツ拠点のインキュベーターであるロケット・インターネットによる東南アジア各国の展開だろう。

彼らは、Lazada/Zaloraと言うB2C Eコマースサービスを中心に各国でサービスを同時に立ち上げている。また最近は、C2Cマーケットプレイスに参入しLamidoと言うサービスの展開も開始した。その他、価格比較サービスや、オンラインフードデリバリーサービスとEコマース関連サービスを多数、展開している。

その他には、日本の楽天がタイ・マレーシア・インドネシアでB2B2CのEコマースモールを展開している。またシンガポールにAPACのヘッドクォーターをおいている事からも今後の積極展開が伺える。

現在のEコマース市場規模について

注目度が集まる一方で、実際に現在の東南アジアはどれくらいの市場規模なのか?と思う方も多いだろう。

まず、アジアにおけるB2C Eコマースの市場規模(株式会社コミューンまとめ)を見て頂きたい。

*複数のソースから比較(2011/12年とデータも混合している)しており参考程度の情報として捉えてください。

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現時点では、東南アジアにおける市場規模は非常に小さいと言わざるを得ない。インターネットの普及率、一人辺りGDPの成長に伴う個人消費の拡大が進めば将来的に大きな市場になる事は間違いないと言えるだろう。それがいつのタイミングになるのか?は、誰も分からないところである。

ただ私たちだからこそ言える事は、確実にこの2年で我々のベトナム・インドネシアの投資先であるEコマース企業各社は、想像を超えるスピードで成長をしていると言う事実がある。

この事からも、収益化が遠い将来のように思われている東南アジアにおけるEコマース市場が、案外、2〜3年後くらいには立ち上がりを見せるのでは?と感じている。

奮闘するローカルプレイヤー

大きな資本で東南アジアに参入しているプレイヤーが居る中で、各国、ローカルプレイヤーであるスタートアップが奮闘している。

タイ・インドネシア・ベトナム・マレーシア・シンガポール・フィリピンと程度の違いはあるが、既に多くのEコマースサービスが存在している。

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大きな資本のプレイヤーは勿論だが、ローカルプレイヤーが市場の中で存在感を示している。

決済や物流の状況や商品の種類や仕入れは先進国とは大きく違い、また東南アジア各国でも違うため、東南アジア全体を一気に攻めるという、大資本を持った会社ならではの方法もあるがEコマースは非常にローカルに根ざしたビジネスであると筆者は考えており、ローカルプレイヤーでも十分な勝機があると感じている。

最後に東南アジア各国の概況について私の考えと共に簡単に触れておきたい。

◆タイランド

物流・決済は他の東南アジア諸国よりは整って来ている。

B2C/C2Cのサービス共に順調に拡大している。

今後は、○○に特化(Ex. Fashion)と言ったバーティカルなEコマースサービスのチャンスも拡大して行くと考えられる。

◆インドネシア

物流・決済は徐々に改善傾向にはあるが依然、問題は多い。

しかしそのような状況下でB2C/C2C、バーティカルECなど急激に拡大している。
また政府による将来的な外資企業に対する投資規制に不安要素はある。

◆ベトナム

インドネシア同様、物流・決済は徐々に改善傾向にはあるが依然、問題は多い。元々、クラシファイド、価格比較サービス(オフライン含めた)が強く、近年、オンラインでの購入が徐々に増えて来ている。

◆マレーシア

クアラルンプールを中心に発展しており、物流・決済は充実している。しかし市場が大きくないため、各サービスとしての規模感は、上記3国と比較するとやや小さいが、収益化は比較的早いと考えられる。

◆シンガポール

物流・決済は先進国並みに充実している。しかし、個人消費額は大きいが人口も多くないため市場規模としては小さい。物品の購入よりも、サービス系(旅行等)の購入の方が多いように感じる。また人件費が他国と比較すると高いため、運営コストが非常に高くなりがち。

◆フィリピン

まさに市場自体がこれからスタートするところと言えるだろう。また聞く所によると起業家もここ1〜2年で急激に増えつつある事から考えると、数年前のインドネシアの市場に非常に似ていると感じている。

現在、多くのEコマースに関連するサービスが各国で立ち上がっている。市場規模を見るとまだまだ小さいが、将来の可能性を信じて多くのスタートアップがしのぎを削っている。

Eコマースサービスは、未成熟なマーケットにおいては、立ち上げてから収益化までの時間が非常にかかるビジネスであるため、現在の東南アジアへのベンチャーキャピタルによる投資額はまだまだ小さい状況で、実際に収益化まで運営が出来ないスタートアップも数多く出て来るだろう。

だからこそ、我々は誰よりも東南アジアの可能性を信じ、これからも積極的にこの分野のスタートアップの支援をして行きたいと考えている。

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この記事の著者

鈴木隆宏
株式会社サイバーエージェント・ベンチャーズ
ジャカルタオフィス代表

2007年4月、サイバーエージェント入社。その後、バイラル広告代理店 CyberBuzzの立上げに参画した後、SAP事業を行うCyberXにてモバイルソーシャルアプリケーションの立上げ、およびマネジメント業務に従事し、高収益事業への成長に貢献。2011年6月よりサイバーエージェント・ベンチャーズへ入社し、日本におけるベンチャーキャピタル業務を経て、同年10月よりインドネシア事務所代表に就任、インドネシア企業への投資活動及び経営支援業務に従事。早稲田大学 スポーツ科学部卒。