HOME>日本企業がベトナムに進出する場合のチャンスとは?

日本企業がベトナムに進出する場合のチャンスとは?

こんにちは。2010年からベトナムにて投資事業を担当しております中山です。

ご存知の方も多いと思いますが、ベトナムでは、ここ1、2年の間に日系インターネット企業の開発拠点の設立ラッシュがありました。

DeNA、GMO、Adways、gloops、などを筆頭に、次々と開発拠点をベトナムに設立しています。ただ、まだ本格的にベトナム内需を狙った動きではないようで、日本からの開発案件の請負という意味合いが強いと考えています。

そんな中で、サイバーエージェント・ベンチャーズは主にベトナム国内のインターネット企業にVCとして投資を行っており、すでに12社への投資を実行しています。

その経験を元に、この記事では、現在 "日本企業がベトナムに進出する場合に" どのようなビジネスにチャンスがあるのかを検討していきたいと思います。

まずは、ざっとベトナムの主要な数字を羅列していきたいと思います。

・人口:約9,000万人

・GDP:10兆円

・年齢分布:30歳以下の人口が60%以上

・インターネットユーザー数:3,300万人

・3Gモバイルネットユーザー数:1,500万人

・携帯電話所有者:5,000万人以上

・スマホユーザー数:700万人 (iPhone & Androidのみ)

・インターネット広告市場:60〜70億円(全広告費の5%以下) 年間成長率60%以上

・上記内SEM市場:20億円 年間成長率100%以上

・モバイル広告市場規模:1億円前後

・オンラインゲーム市場:200億円

・フィーチャーフォンゲーム市場:40億円

・スマホゲーム市場:2億円弱

・人気のPCゲームの月間売上:3億円〜4億円

・人気のMBゲームの月間売上:1億円

・EC市場規模:500億円前後 年間成長率60%

・月間ECサイトを見ているユーザー数:2,000万人

・クレジットカード発行枚数:100万枚

などと、書き連ねれば、項目にキリが無いのですが、ベトナム市場の中で、どのような事業がチャンスとなるのでしょうか。

スマホはお得体験サービスか、カードバトルゲーム

まずは日本で激アツなスマホ関連の事業でいうと、ユーザーにお得な情報を届けるようなサービスはチャンスがあると感じています。

日本人以上に、値引きやお得情報を好む市場ですので、日本であるような、今だけ無料のアプリを紹介するサービスや、抽選で何かが当たるようなサービスはユーザーを集めやすいと考えています。

私の知る限りでは、本腰を入れてこの手のサービスを展開しているベトナム企業は無いようです。

こういった事業のアイデアは日本が辿ってきたネットビジネスの歴史もあり、日本が先行しているモデルであるため、上手くローカルで動ける人を採用できれば、比較的容易にバイラルで広げられる可能性があります。

スマホのコミュニケーションサービスに関して、チャットアプリはまだキャズムを超えた勝者はいませんが、激戦状態になってきました。

LINE、We Chat、Kakao、そして現地No.1ネット企業であるVNGがリリースした「Zalo」。

今後大きなプロモーション&ローカライズ資金を投入してくると考えられるので、この分野は外した方が無難だと思います。

まだ、友達が全員スマホを持っているというような状況ではないので、リアルフレンドではなく、バーチャルフレンドと楽しむようなインタレストグラフに特化したコミュニケーションサービスの方がユーザーは楽しみやすいと考えています。

また、スマホのゲームですが、日本でも欧米でも韓国でも通用しているカードバトルゲームは、ベトナムではまだほとんどプレイされていません。

カードバトルゲームは、直感的に遊べるパズルゲームなどのカジュアルゲームに対して、ゲーム内に比較的文字の多いゲームジャンルであるため、必ずその部分を現地語化しなければなりません。

また、ユーザーの動きを見ながらの日々の運用が勝負なため、かなりローカライズ体制を整えなければならないのですが、そこまでやっている日本企業はまだほとんど無いようです。

ただ、カードバトルゲームが全く無いわけではなく、私の知る限りGMOが買収したランシステムという会社の関連グループ企業で一社展開しており、まだ大きな売上金額ではないものの、フィーチャーフォンをメインに収益が伸びて来ていると聞いています。

幸いにも、ほとんどのベトナム人ゲームディベロッパーはカードバトルゲームの面白さに気付いてないようです。

ベトナムではカードバトルゲームは難しいと決めつけず、狙ってみると良いのではないでしょうか。ちなみに、現在スマホで大きな売上になっている人気ゲームはありません。

携帯キャリアやユーザーを抱えているスマホメディアは、収益化を模索しているので、ゲーム次第では、レベニューシェアという条件で、プロバイディングを前向きに検討してくれるようです。

既存のサービスに付加価値を加えて現地で提供する

スマホ以外の事業体の場合、ローカル要素(情報収集、営業、マーチャンタイズ、言語など)が、勝つための重要な要素となる場合が多いので、日本企業というより、ベトナム企業に分があります。


その中で、あえて日本企業がチャンスという部分は見つけづらいのですが、ニコニコ動画が動画に新しい体験を付与したように、ベトナムですでに根付いているサービスに対して新しい価値を付与し提供することで、市場からは受け入れられやくなると思っています。

そのサービス自体が、マネタイズできないにしても、ゲーム市場がそれなりに大きくなってきていることを考えると、ゲームにユーザーを流すことで、マネタイズは可能になってくると思います。

例えば、先ほども紹介した、VNGは音楽ストリーミングメディアでユーザーを集め、そのサービス自体ではマネタイズせず、自社のゲームサービスへユーザーを誘導し、マネタイズに成功しています。

情報メディアや、ECなどのサービスは、やはりローカル要素が非常に強いので、出資をするという形での参入をオススメします。

私の経験では、優秀な経営者が率いるローカル向けビジネスを展開している事業に出資し、日本のノウハウからインスピレーションを得てもらうという流れが一番上手く行っているように見られます。

我々の出資先で言うと、例えば「Foody」 という飲食店検索&クチコミサービスや、「Vatgia」というECモールサービスがそれに当たる良い例かもしれません。

両社とも、サービス黎明期に事業戦略上非常に重要なコンセプト部分で我々と議論を重ねた上で、優秀な経営者が力強く実行できたことが功を奏し、市場のNo.1サービスへの成長につながったと考えています。

最後に実際に2年弱ベトナムの首都であるハノイで暮らしてみて感じるベトナムの環境について、書きたいと思います。

ベトナムは全人口の4分の1がバイクを保有している国であり、日本製のバイクは高品質であることから、ホンダやヤマハは非常に人気があります。

また日本の文化・慣習や勤勉な日本人の国民性にも好意を持ってくれている国でもあり、親日家の人がとても多いと感じます。そういった意味では、日本人がビジネスを展開するには、好条件な場所であると思います。

また現在のベトナムは経済発展が著しく、その雰囲気はさながら高度経済成長期の日本のような状態とも言え、街は活気に溢れています。未だ社会基盤が未成熟である部分はありますが、逆にそれは高い成長ポテンシャルを持っている市場だと考えています。

ベトナムの市場に挑戦を検討されている起業家の方で気になる点があれば、ぜひ私までご連絡いただけたらと思います。


今回、書かせていただいたのは、あくまで"日本企業が進出する場合に"という観点での私の意見でしたので、実際にベトナム人が経営する企業にとってのチャンスとは大きく異なります。

また、別の機会にそのようなこともお伝えしていければと思います。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加